2014年3月26日水曜日

日本のネット通販企業待望の「ヤマト中国市場向け宅配」



ヤマト運輸の持ち株会社であるヤマトホールディングスのリリース記事が報道されました。4月から中国の物流最大手「中国郵政集団(チャイナポスト)」と提携し、日本のインターネット通販で買い物した中国人向けに商品を宅配するとのことです。

これは日本の通販会社にとっては、中国の消費者向けに販売する手段として歓迎すべきニュースですが、現実的には、モデルケースで例示されているパターンでは「商品代金5000円、関税1000円、送料1000円」というコストがかかることになっていますので、まだまだ一部の高額商品にしか適合しないように思います。しかし、きわめて大きな前進であることは間違いありませんね。

以下、ニュース記事と、ヤマトホールディグスのリリースを引用いたします。


ヤマトが中国向け宅配で現地大手と提携 日本のネット通販商品が対象
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140324/biz14032412250008-n1.htm

 ヤマトホールディングス(HD)が4月から、中国の物流最大手「中国郵政集団(チャイナポスト)」と提携し、日本のインターネット通販で買い物した中国人向けに商品を宅配することが24日、分かった。日本のネット通販業者のビジネス拡大につながりそうだ。

 ヤマトHD傘下で企業間物流を担うヤマトグローバルロジスティクスジャパン(東京)がサービスを始める。初年度から日本企業約150社の利用を見込む。

 ヤマトの「宅急便」のネットワークを利用して日本企業から集荷し、羽田空港経由で中国・上海に空輸する。受け取ったチャイナポストが中国全土に宅配する仕組みで、3~5日間ほどで届くという。

 新サービスの配送料は、重さ1キロまでが約2千円、2キロまでが約3500円。大口顧客向けの割引も設定する。通販業者はヤマトに配送料を払い、商品代金に上乗せするなどして回収する。

(産経ニュース)


インターネット販売を行う日本の通販事業者から、
中国の消費者に向け個人輸入の商品を配送するサービス
「ヤマトチャイナダイレクト」発売のお知らせ

ヤマトグローバルロジスティクスジャパン株式会社
平成26年3月24日



http://www.yamato-hd.co.jp/news/h25/h25_94_01news.html


上海郵政EMSと業務契約を締結し、
日本から中国の消費者へ、通販商品を最短3日でお届けします

ヤマトホールディングス株式会社傘下で国際物流サービスを提供するヤマトグローバルロジスティクスジャパン株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小杉 武雄、以下「YGL」)は、4月1日より、インターネット販売を行う通販事業者に対し、日本から中国の消費者に通販商品をスムーズに届ける配送サービス「ヤマトチャイナダイレクト」を発売します。


1.背景

GDP世界第2位の経済大国となった中国は、約13.5億人の人口を抱え消費の拡大が著しく、多くの日本企業が中国の消費者への販売拡大に取組んでいます。しかし、販路拡大のため現地法人を設立しても、中国国内の物流費用や関税・増値税などのコストがかさむなど、価格競争力が損なわれてしまうことが少なくありません。また日本国内から中国へ直接通信販売を行う際に、中国において個人輸入の関税・増値税や輸入限度額・量などの通関規制があるため、円滑な取引ができないケースが起きています。
今回YGLでは、日本から中国の消費者へ通信販売を行う企業をサポートするため、中国での輸入通関及び配達業務について中国郵政集団公司(以下「中国郵政」)傘下の上海市郵政速逓物流有限公司(本社:上海市、以下「上海郵政 EMS」)と業務契約を締結しました。

2.現状の問題点
(1) 中国の購入者が個人輸入をする場合、品目や量・金額などによっては個人使用とみなされずに商業目的と判断されることがあり、輸入審査基準が厳しくなることから、輸入許可がスムーズに下りない場合があります。
(2) 関税が発生する場合、中国の個人輸入者は、一部地域を除いて、関税納付のために指定郵便局に行かなければならない場合があります。
(3) 上記のような問題点により、通販事業者にとっては返品率が高くなり、リピート率の低下にもつながっています。

3.「ヤマトチャイナダイレクト」について

(1) サービスの特徴

国内の通販事業者のメリット
[1] YGLが通販事業者に対し、中国の個人輸入規則に則った情報(個人輸入に関する関税率や個人輸入枠に関する情報)を提供することで、販売できる商品が明確になるうえ、受注時点で通関上の諸条件を満たせることから、スムーズな通信販売が実現できます。
[2] 中国での輸入通関及び配達は上海郵政 EMSに業務委託するため、中国全土に配達することができます。(日本国内から上海市内で最短3日。配達地域により日数は異なります。)
[3] [1]と[2]により、消費者にとっても安心して購入できるので、返品率低下とリピート率向上が見込まれます。
[4] 関税や中国国内の送料など、輸送に関わる諸費用をYGLが一括して決済を行うため、事務手続きの手間が削減されます。
[5] 現地法人の設立や販売代理店との契約をせずに、中国への販路を拡大することができます。

中国の消費者のメリット
[1] 購入した商品を宅配で受け取ることができます。
[2] 購入時に商品ごとの輸入通関可否を確認するため、商業目的と見なされて輸入不可となるリスクを大幅に低減できます。
[3] 送料や関税など、輸送に関わる諸費用は、品代金とともに通販事業者のサイトで一括して支払いができ、別々に支払う手間がなくなります。
[4] 商品の配送状況は、YGLの国際宅急便貨物追跡システム及び上海郵政 EMSの荷物検索システムにて確認することができます。

(2) 主な利用条件(日本の通販事業者)
 
[1] ご利用はYGLとご契約を頂いた法人に限らせて頂きます。
[2] 出荷にあたっては、すべての商品が中国で輸入可能な商品かどうかの確認を行い、出荷判定をします。
 
取り扱いが可能な品目の例(※1) 取り扱いができない品目の例
加工調理済みの食品
健康食品
粉ミルク
衣料品
キャラクターグッズ
家電製品
医薬品 第3種(※2) 生鮮品
(肉・魚・野菜・果物など)
冷蔵・冷凍等の温度管理が
必要な商品
医薬品 第1種(※3)
(※1) 上記取り扱いが可能な品目の中にも、一部出荷できないものがあります。
(※2) 副作用の心配がなく、薬剤師による対面説明を要しないもの。
(※3) 副作用の心配があり、薬剤師による対面説明を要するもの。
詳しくは、契約時にご確認下さい。
[3] YGLが指定する出荷管理システムをご利用頂きます。

(3) サイズ・商品の金額制限・送料
 
[1] 荷物サイズは、最大で胴回り・最長辺の合計300cm以内、且つ最長辺150cm以内、40kgまでです。
[2] 複数の商品を購入した場合、品代金合計金額で1,000人民元(15,000円相当)が上限となります。
[3] 送料は契約に基づきます。
 
例えば、子供服1枚(品代金5,000円、500グラム以下)の商品を中国に送る場合、送料約1,000円、関税約1,000円、合計7,000円相当が購入者の支払額(人民元)となります。送料は、羽田クロノゲートに商品在庫がある場合です。
契約送料は、発送個数や頻度、品目、在庫場所などにより決定します。
(4) 発送フローの概要(例)
  発送フローの概要(例)
 
羽田クロノゲートに商品を在庫した場合、さらに1日短縮できます。
日本国内の集荷については、オプションとなります。
中国税関当局による貨物検査が発生した場合、所要日数が伸びる可能性があります。
(5) サービス開始日
平成26年4月1日(火)

4.ヤマトグローバルロジスティクスジャパン株式会社について
(1) 概要
  ヤマトグループの国際航空・海上貨物フォワーディングサービスや通関サービス業務などを 提供する貿易物流サービス事業の中核会社です。1999年に設立され、2008年には日本郵船 株式会社が30%を出資するとともに、現社名に商号変更致しました。
(2) 国際通販に関する主なサービス
  ヤマトグループの海外現地法人と連携し、北米や欧州等から日本へのインターネット通信販売をトータルにサポートする国際物流サービスを提供しています。
(3) 本社所在地
  〒104-0033 東京都中央区新川1丁目10番14号 ニューリバービル6F
以上

2014年3月20日木曜日

日本企業進出のチャンスが大きい安徽省



おはようございます、チャイナプロジェクトの樋笠です。

昨日は安徽省出身の在日華人経営者である先端技研の叶新華さんとお会いしました。尖閣問題以来、政府や省・市レベルでの経済交流は少なくなっていますが、水面下では、やはり優れた日本企業を誘致したいという思惑があります。

叶さんは安徽省の市政府関係者に相談されて、安徽省向けの日本企業の訪問団による視察ツアーを企画したいとのお話でした。


http://news.china.com/zh_cn/focus/anhui/11067206/20080422/14800276.html



安徽省はもともとは上海などの沿海部向けに人材を供給するような役割を担ってきましたが、ここ最近では、どの地方政府でも事情は同じですが、積極的に現地での企業誘致、人材確保を競っています。

こちらにJETROの概要レポートがありますが、

https://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/chubu/pdf/overview_anhui_201303.pdf

ご覧頂けるとわかるように、安徽省の経済成長率は中国の全国平均よりも高く発展中で、しかも、これまでの日本企業数も非常に少ないことがお分かり頂けると思います。

日本企業にとっては、中国進出を決める場合、「どの地域に進出するか」がとても重要です。

これまでは「内陸」と思われていた地域には、意外と大きなチャンスが眠っている可能性があります。

たとえば、安徽省という一つの省だけでも面積が13.9万平方kmと首都圏(1都3県)の約10倍、常住人口約5988万人という巨大市場です。

省都である合肥市は人口約752万人、第二の都市である蕪湖市は384万人と、中核都市だけでも1000万人超の経済圏です。

2011年のデータで、安徽省に進出した日系企業の累計数は、わずか155社。ここ最近では1年間にたった10数件の進出しかありません。
(代表的な進出企業は、花王、三菱電機、ニプロ、ヨドコウなど)

同時期の上海市のデータが22,790社ですから、安徽省は上海の100分の1以下です。

安徽省は交通の要所として、内陸各都市へのアクセスも良く、まさに注目が高まっています。これから中国への進出を検討される企業にはおすすめの地域と言えるでしょう。


●役立つ参考資料

みずほ銀行 「合肥」チャイナマンスリー2013年8月
http://www.mizuhobank.com/china/jp/fin_info/pdf/MizuhoChinaMonthly_Hefei.pdf

上海産業情報センター「合肥市高新技術産業開発区・日本産業園」2013年3月
http://www.pref.aichi.jp/ricchitsusho/gaikoku/report_letter/Shanghai201303Report.pdf

2014年2月26日水曜日

2014年春節、日本への中国観光客が回復傾向に


チャイナプロジェクトの樋笠です。今年2014年の春節(中国の旧正月)は、日本向けの観光旅行者数が大きく伸びたという嬉しいニュースです。安倍首相の靖国参拝以降、政治的には険悪なムードもありますが、一般庶民やビジネスマンにとっては、政治問題よりも、リアルな相互体験と人的交流が進んでいくことを期待したいですね。以下、人民網日本語版より引用します。



http://j.people.com.cn/94473/8538360.html

政治問題とは裏腹に、訪日観光ブームの到来? 前年比10倍増(中国)

 2014年02月17日

 日本は先月、中国大陸部の団体ツアー客7万9000人と個人旅行客3万人に対して観光ビザを発給した。これは、安部晋三首相が2012年12月に就任して以来の最高の数字であり、前年比10倍にあたる。日本政府観光局(JNTO)香港事務所の平田真幸所長は、「大多数の中国人は政治問題を気にしていないように思える。日中間の政治的緊張関係にも慣れてしまい、争い自体にもうんざりしているようだ。単に旅行を楽しみたいという気持ちなのだろう」と語る。香港英字紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストが伝えた。

 報道によると、2013年12月26日の安部首相による靖国神社参拝に対する争議は、観光業にほとんどマイナス影響を及ぼさなかったようだ。

 これと同時に、3年前の東日本大震災の影響から一時的に減少した香港からの観光客も同様に、訪日旅行意欲が回復した(観光庁のデータによると、2013年に74万人を超えていた香港からの訪日観光客は、2012年には48万人にまで減っていた)。

 1月31日からの北海道6日間ツアーに参加した北京からの観光客は、「日本人が領土問題のために中国人観光客に対して敵意を持つ心配はしていない。日本政府は決して日本国民の代弁者ではないし、実際に以前関わったことのある日本人の言動から、日本人の見方が政府のプロバガンダに毒されているようには思えない」として、「日本人はいつも礼儀正しいし、日本人は言行一致の教育を受けていることから、観光客への対応が国によって違うということはない」と語った。

 この観光客は、北海道を訪れる大陸部の観光客が以前に比べて非常に多くなっていることに驚いた。2年前に日本の最北端の島に訪れたとき、中国語を話す観光客にはほぼ会わなかったのに対し、今回、同島にある火山の観光地に訪れた際には、旅行客を載せたワゴン車が十数台も泊まっていたという。

北海道の文教大学国際言語学科の渡部敦講師は、中国の改革開放以来、ますます多くの中国人が日本文化に魅了されているとして、「大陸部向け日本観光ツアーにはありとあらゆる観光プログラムが組み込まれ、温泉から銀座の高級ブランド街でのショッピングまで、非常に充実している」と指摘する。

 一方、店舗や百貨店など中国観光客を迎え入れる側は、贅沢に買い物をする中国観光客が再び日本に戻ってきたことに対し「大歓迎」の意を示している。

 高級百貨店・伊勢丹の広報担当者によると、2014年1月31日から2月6日までの期間、東京3店舗での販売額は前年同期比400%増、中国大陸部からの訪日観光客は前年同期比325%増というすさまじい伸びを記録したという。

 前述の北京から来た観光客によると、日本旅行に行った友人の大多数が1000米ドル(約10万円)以上の土産、特に高級日本食品を購入していたという。

 また、この観光客の日本の友人は、中国人観光客のすさまじい購買力のほかに、しゃべり声の大きさが印象深かったとして、「日本の友人は、『日本は中国の観光客を非常に歓迎している。ただ、中国人観光客のしゃべり声がもう少し小さくて、ちゃんと列に並んだのなら、もっと歓迎されるだろう』と話していた」と語る。

 北京から来た中学教師の馬寧さん(音訳)は、春節(旧暦の正月。今年は1月31日)連休中に関西地区を旅行した。免税店の店員が中国語を話せたことに驚きを示したほか、「北京に戻る前に行った24時間営業のコンビ二では、『日本経済は落ち込んでいます。観光客の皆様方のご来店とご利用を歓迎いたします』という中国語による案内が流れていた。でも、日本語での案内は流れていなかった」と指摘した。馬寧さんは、日本で仕事をしている親戚から基礎的な日本語を習っていたので、それがわかったのだという。(編集MZ)

 「人民網日本語版」2013年2月17日
http://j.people.com.cn/94473/8538360.html